PMBOK 其の五:「価値」を「実現」する「システム」とは、これ如何に
【戦国PM講座】
~ まんがで学ぶ PMBOK プロジェクトマネジメント標準 ~
ミネアサヒの指導のもとOJTでWEBディレクションの経験を積んできた新之助は、一層のスキルアップを目指し、PMBOKに基づく「プロジェクトマネジメント標準」を学び始めた。ここまでは基本的な用語などを学んできたが、今回は新章「価値実現システム」の話が始まる…
~ プロジェクトマネジメント標準 2 価値実現システム ~
PMBOK第7版「プロジェクトマネジメント標準」では、プロジェクトを、価値を実現するためのより大きなシステムの一部と位置付けています。定義を確認してみましょう。
組織を構築、維持、発展させることを目的とした戦路的な事業活動の集合。ポートフォリオ、プログラム、プロジェクト、プロダクト、定常業務はすべて、組織の価値実現システムの一部でありうる。
*『PMBOKガイド第7版』プロジェクトマネジメント標準 P5
これを図にするとこんな感じです。
ポートフォリオ・プログラム・プロジェクト・定常業務といった要素を、単独または組み合わせて用いることで、組織の戦略と整合した「価値実現システム」が構成されます(ポートフォリオ、プログラムについてはこの後の回で詳しくご説明します)。
この価値実現システムは組織の「内部環境」の一部であり、さらに、内部環境はより大きな「外部環境」の中に位置しています(内部環境・外部環境の詳細についてはまた別の機会に…)。
つまりプロジェクトとは、このように幾重にも重なる組織や社会の中で、求められる役割があって存在する要素である、というわけです。
では、この価値実現システムが生み出す「価値」とは何でしょうか? 一例として次のようなものが挙げられます。
価値実現システムが⽣み出す「価値」の例
○ 顧客やエンド・ユーザーのニーズを満たす、新規プロダクト、サービス、または所産を⽣み出す。
○ 有益な社会貢献や環境への貢献を⽣み出す。
○ 効率性、⽣産性、有効性、または応答性を⾼める。
○ 組織にとって望ましい将来の状態への移⾏を促進するために必要な変⾰を可能にする。
○ 以前のプログラム、プロジェクト、定常業務によって得られているベネフィットを維持する。
これは幅広いですねえ。ステークホルダーからどのような価値を求められているのか、それを明確にして共通認識を作ることが、プロジェクトマネジメントの大事なポイントになりそうですね。
今回は新しいワードがたくさん出てきましたが、ひとまず「プロジェクトはより大きなシステムの一部」ということを理解しておいてください。次回以降、価値実現システムの全体像を詳しく学んでいきましょう。
(^^♪ 次回:エンジニアではない新之助が「プログラム」を学ぶ・・・?!
【出典・参考文献】
・プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準(一般社団法人 PMI 日本支部,2021.274p.)
・A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Seventh Edition and The Standard for Project Management (ENGLISH) By Project Management Institute Project Management Institute
・Project Management Institute.
・一般社団法人 PMI 日本支部