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PMBOK 其の十七:プロジェクトの職務⑥〜PMを超えた領域の判断「事業の方向性と洞察」編

【戦国PM講座】
~PMBOK から学ぶプロジェクトマネジメント標準~

戦国WEBディレクション講座

ミネアサヒの指導のもとOJTでWEBディレクションの経験を積んできた新之助は、一層のスキルアップを目指し、PMBOKに基づく「プロジェクトマネジメント標準」を学び始めた。プロジェクトに関連するさまざまな職務のうち、「専門知識の適用」では、社内外から知恵を借り、仕事の幅を広げる手段を学んだのだった。さて、今回は……

登場人物紹介

~ プロジェクトマネジメント標準 2.3.6 事業の方向性と洞察の提供 ~

初回の接見に丸腰で挑むとは愚かなり!

ディレクターつや姫のワンポイントアドバイス

今日も殿を怒らせてしまいましたね。。。

今回はプロジェクトに関連した職務のひとつ「事業の方向性と洞察」についてご説明します。

まず、PMIの解説をひもといてみましょう。

この職務を果たす人は、プロジェクトまたはプロダクトの成果の方向性を示し明らかにする。この職務には、事業価値、依存関係、技術的リスクまたは運用上のリスクに基づき、要求事項やバックログ項目の優先順位をつけることが含まれる。
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】2 価値実現システム / 2.3.6 事業の方向性と洞察の提供)

事業の方向性を判断するためには、ここに挙がったものだけでも
○ 事業価値
○ 依存関係
○ 技術的リスクまたは運用上のリスク
など、幅広い要素を検討する必要があります。

これらは、組織全体におけるプロジェクトの価値や位置付け、リスクの評価に当たる内容です。プロジェクト単体の意思決定範囲を超えるものですから、新之助さんが単独で判断せず殿に相談したのは正解だったわけですね。

さて、新之助さんのケースでは何が問題になっていたのでしょうか。

自社で開発中のサービスについて、エンジニアから「ターゲットを変えたほうがいい」との意見があったそうですね。現場の意見に新之助さんも賛成でした。しかし、ターゲットを変えるというのはすなわち「誰に売るか」を変えることです。場合によっては事業の方向性が変わってしまうくらい大きな判断になります。

例えば、既存客のいるターゲットから離れ、新規開拓が必要になるかもしれません。購入可能な価格帯が変わったり、 B to B だったビジネスが B to C になり、利用デバイスをPCからスマホメインにシフトさせることも考えられます。

もしそうなれば、この先の事業計画にも影響を与える可能性があります。事業責任者、経営陣、さらには事業に投資してくれた株主にも話を通していかなくてはならないかもしれません。

このように成果物の価値を最大化することを目的に、自社やチームを取り巻く環境、またステークホルダーとの関係を含めて、課題を検討し判断することが、「事業の方向性と洞察の提供」の職務の役割というわけです。

今の新之助さんに任せられた領域よりは、上位レイヤーにあると言えるでしょう。

プロジェクトを任された新之助さんは、ご自身の立場では判断できない領域を正しく線引きし、それを超えることについてはこの職務に当たる人に相談することが第一ですね。

教訓:丸腰で臨むは負けフラグ!

(^^♪ 次回:チームと偉い人との間に入るお役目に感謝!


【出典・参考文献】
プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準(一般社団法人 PMI 日本支部,2021.274p.)
A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Seventh Edition and The Standard for Project Management (ENGLISH) By Project Management Institute Project Management Institute
Project Management Institute.
一般社団法人 PMI 日本支部


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