PMBOK 其の二十三:プロダクト、プログラム、プロジェクト、3つのマネジメントの関係は?
【戦国PM講座】
~ PMBOK から学ぶプロジェクトマネジメント標準 ~
ミネアサヒの指導のもとOJTでWEBディレクションの経験を積んできた新之助は、一層のスキルアップを目指し、PMBOKに基づく「プロジェクトマネジメント標準」を学び始めた。プロダクトが完成すればプロジェクトは完了と考えていた新之助だったが、より多くの価値を生むためにプロダクトを進化させる「プロダクトマネジメント」という概念を知るのだった。
~ プロジェクトマネジメント標準 2.5 プロダクトマネジメントの考慮事項 – 2 ~
「プロダクトマネジメント」とは、あるプロダクトを構築・強化するためのプログラムやプロジェクトを立ち上げて管理し、顧客やスポンサー組織にさらなる価値を生み出していくことでしたね。
この目的を達成する方法はひとつではなく、さまざまな形式があります。
○ プロダクト・ライフサイクル内のプログラムマネジメント
○ プロダクト・ライフサイクル内のプロジェクトマネジメント
○ プログラム内のプロダクトマネジメント
え???
文字だけ見ると混乱してしまいますよね。。。
もう一度プロダクト・ライフサイクルの図を見ながら整理してみましょう。
前回の記事でお話したプロダクト・ライフサイクルの基本の図はこちらでした。
これをベースに、プロダクト・マネジメントのさまざまな形式を見ていきましょう。
プロダクト・ライフサイクル内のプログラムマネジメント
下の図でいうと赤枠の部分が、プロダクト・ライフサイクル内のプログラムマネジメントの領域となります。
ここでは「導入」「成長」部分のプログラムである「プログラムA」のマネジメントを例にしています。プログラムの中にいくつかのプロジェクトが含まれていますが、サブプログラムが含まれることもあります。
この図のように、「導入」「成長」のフェーズにプログラムがきれいにおさまっていたり、「プログラムA」と「プログラムB」がはっきり分かれているとは限らず、特に大きなプロダクトや長期にわたるプロダクトでは複雑に連携し合うことがあります。
このアプローチには、関連するプロジェクト、サブプログラム、プログラム活動が包含されている。非常に大きなプロダクト、または長期にわたるプロダクトでは、一群のプログラムやプロジェクトを連携させるため、一つ以上のプロダクト・ライフサイクルのフェーズが相当複雑になることがある。
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】2 価値実現システム / 2.5 プロダクトマネジメントの考慮事項)
プロダクト・ライフサイクル内のプロジェクトマネジメント
前回新之助さんが「終わったばっかり」と言っていたのが、図の赤枠部分の「プロジェクト 1」ですね。これも「プロダクト・ライフサイクル内のプロジェクトマネジメント」の一つの例です。とはいえ、プロジェクトはこれ1つだけとは限りません。
ポートフォリオ・ガバナンスが、プロダクトの強化・改善のために、必要に応じて個別のプロジェクトを立ち上げていきます。
新之助さんの次のプロジェクトも、まもなく立ち上げられるでしょう♡
このアプローチでは、継続的な事業活動として、プロダクトの能力の開発と成熟を監理する。ポートフォリオ・ガバナンスは、強化や改善を行ったり、その他の固有な成果を生み出したりするために、必要に応じて個別プロジェクトの立ち上げを認可する。
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】2 価値実現システム / 2.5 プロダクトマネジメントの考慮事項)
プログラム内のプロダクトマネジメント
まずは PMBOK の文章を確認してみましょう。
このアプローチは、特定のプログラムの範囲内および境界内のプロダクト・ライフサイクル全体に適用される。
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】2 価値実現システム / 2.5 プロダクトマネジメントの考慮事項)
下の図でいえば、「プログラムA」内にある導入・成長のプロダクト・ライフサイクル全体のことを指します。
プロダクトのベネフィットを実現させるために、プロダクト・マネジャーがサブプログラムやプロジェクトを立ち上げます。
競合分析、顧客獲得、カスタマー・アドボカシーなどの資質があると、効果的な戦略が立てられます。
プロダクトの具体的なベネフィットを実現するために、一連のサブプログラムやプロジェクトの立ち上げが認可される。これらのベネフィットは、競合分析、顧客獲得、カスタマー・アドボカシーなどのプロダクトマネジメント・コンピテンシーを適用することで強化できる。
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】2 価値実現システム / 2.5 プロダクトマネジメントの考慮事項)
以上3つの形式について解説いたしましたが、実際にはこれら以外にもさまざまな形式が考えられます。
今回はプロジェクトマネジメントのスコープ外のお話でしたが、プロダクト・マネジメントは、プログラムマネジメント、プロジェクトマネジメントと切っても切れない結びつきがあります。新之助さんも、今回のプロジェクトマネジメントがプロダクト・ライフサイクルのどのフェーズにどう関わっているのかを意識すると、プロジェクト単体ではなくその先の未来が見えてくるようになりますよ。
(^^♪ 次回:新章突入! 第7版もう一つの核心「プロジェクトの原理・原則」に挑め
【出典・参考文献】
・プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準(一般社団法人 PMI 日本支部,2021.274p.)
・A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Seventh Edition and The Standard for Project Management (ENGLISH) By Project Management Institute Project Management Institute
・Project Management Institute.
・一般社団法人 PMI 日本支部