中小企業がDX化を推進するための全てのハードルを取り除く3つのポイント (DX#75)
これまで、中小企業のDX化が進まない理由について、現状認識から各課題の解決策まで、6回にわたって説明してきました。
ご好評をいただきましたので、総復習のつもりで全体を手短にまとめつつ、最終的に DX 導入のハードルを取り除くための3つのポイントに落とし込んでみたいと思います。
【 目次 】
- (1)現状認識
- (2)具体的な効果や成果が見えない
- (3)予算の確保が難しい
- (4)DX/ITの人材がいない
- (5)何から始めてよいかわからない
- (6)導入したがオペレーションに落ちない
- まとめ:全てのハードルを取り除く3つのポイント
(1)現状認識
まず第一回では、なぜ中小企業の DX 化が進まないのか、その原因を「中小企業の DX 推進に関する調査(中小機構)」のアンケート調査報告書より探ってみました。
この報告書によると、DXについて「理解している企業」より「理解していない企業」の方が多いのが現状です。
一方、理解は浸透していないものの、「DX 推進に向けた取組みの必要性」を感じている企業が8割近くとなっており、「必要だ」という認識は浸透しています。
また、DX に既に取り組んでいる企業に具体的な成果について尋ねたところ、一定以上の成果を感じている企業が8割超となっています。
必要性は感じており、実際に取り組んでいる企業は8割が成果を感じているにも関わらず、 DX に対する理解浸透が遅れて中小企業の DX 化が進んでいないというのが現状のようです。
(2)具体的な効果や成果が見えない
中小企業がDXを始めるにあたっての課題として、「具体的な効果や成果が見えない」が3位にランクインしています。
実際に DX を取り入れている企業の8割が成果を感じていることをふまえると、DX を取り入れていない企業が認識する「効果や成果」にズレがあるのではないかと思われます。
世の中では「DX = 変革」といったイメージが付きまとっているので、 DX化によって会社全体が変革するという期待があるのかもしれません。
しかし、導入しただけで社内に変革が起きる、魔法のようなシステムはまず存在しません。
中小企業の DX 化という観点で考えれば、「いきなり全体」ではなく「一部から始めて徐々にデジタル化を浸透」した方が早いというのが、私の経験から言えるこことです。
少しずつデジタル化することによって、社内にデータ活用の文化が浸透してゆきます。
そしてデータ活用によって時間の効率化が実現できれば、新しいことを考える余裕も生まれ、その余裕がイノベーションの土壌となります。
このように、一挙にゴールを目指すのではなく一歩いっぽ確実に進むことが、中小企業の DX 推進にとって重要なポイントだと思います。
>> 中小企業のDX化を阻む課題を解決する:②具体的な効果や成果が見えない
(3)予算の確保が難しい
中小企業がDXを始めるにあたっての課題として、「予算の確保が難しい」が4位にランクインしています。
しかし、ここにも認識のズレがあり、現在では月額数百円という単位で利用できる DX システムが存在しています。
まずは月額数百円のものでも、DXのスタートとして十分です。
DXというと、企業のERP(基幹情報システム)のようなイメージを持たれるケースが多いようですが、いきなりそのような大規模なものを導入しても、オペレーションが継続できなければ意味がありません。
また、自社でオリジナルのシステムを開発するという方法もありますが、社内に高スキルの IT・DX 人物がいないと、自社開発はもちろん外部に発注することも難しいでしょう。
月額数百円や数千円単位のものから導入し、業務の一部をデジタル化することをおすすめします。
それを一定期間利用することによって、 DX 活用に慣れることができます。そのころにはもしかすると「もっとこんな機能が欲しい」などの要望があがってくるかもしれません。そういった要望をまとめて、自社オリジナルのシステムを開発すれば、無駄がなくなります。
>> 中小企業のDX化を阻む課題を解決する:③予算の確保が難しい
(4)DX/ITの人材がいない
中小企業の DX 化が進まない理由について「DXに関わる人材が足りない」「ITに関わる人材が足りない」との回答が、1位、2位にランクインしています。
DX や IT 人材の確保が難しい時代は、しばらく続くでしょう。
そのような中ですが、人材の確保の方法として、以下3点があげられます。
・社内人材のスキルアップ
・新規採用
・外部リソースの活用(派遣・業務委託など)
まず「社内人材のスキルアップ」ができるのであればそもそも「人材がいない」という問題が発生しないので、ここで人材不足をクリアするのは難しいということでしょう。
「新規採用」については、DX 活用が推進していない中小企業で DX や IT の人材を採用するのは、ハードルが高いと思います。応募者からすれば、そこで成長できるという期待が持てないからです。高額の報酬を積めば可能ですが、それだと前項の「予算の確保が難しい」という問題に直面してしまうでしょう。
「外部リソース活用(派遣・業務委託など)」といっても、どのような「 DX システムを作るのか」というゼロベースで企画から考えられる人材となると、これに対応できる人材とはなかなか出会えません。
しかし、「クラウドサービス」を有効に活用すれば、わざわざ人材を確保する必要はありません。
DX に詳しい人材がいないことを不安に感じられるかもしれませんが、クラウドサービスを活用している間に、そのアプリケーションに詳しい人材が育ってきます。
中小企業のDX にオーバースペックの人材は必要ありません。
導入したシステムと一緒に人が育てば、そのペースで十分なのです。
>> 中小企業のDX化を阻む課題を解決する:④DX/ITの人材がいない
(4)何から始めてよいかわからない

中小企業の DX 化が進まない理由について「何から始めてよいかわからない」との回答が、全体では7位、従業員20人以下の企業では4位にランクインしています。
「何から始めてよいかわからない」となってしまう原因は、大きく分けて2つ考えられます。
・「DX = 社内の大変革」と大事(おおごと)にとらえている
・「最も効果が高いもの」から着手しようとしている
前にも書いたように、「DX = 社内の大変革」でなければならないという認識が、世の中の主流になっているようです。
確かにそれは理想ですが、これが原因で、「せっかく DX 化するのであれば社内を大変革するような効果をもたらさなければいけない」というように、経営者や担当者のハードルが上がってしまい、スタートを切ることが難しくなっているケースがあります。
しかし、現実的にはこれを成そうと思えば大規模な予算と体制が必要です。
中小企業の DX は、まずは小さな一歩から始めて徐々に広げていくことが大切です。
「最も効果が高いもの」から着手しようとしているという点については、もっともな考え方だと思います。普通はそう考えるのが当然でしょう。
しかし、最初から「最も効果が高いもの」に手をつけようとするから、DX化がなかなか進まないのです。「最も効果が高いもの」は社内でも重要なポジションを占めていますので、各所から様々な意見が出て、仕様をまとめるのに膨大な時間がかかります。
試しに第一歩として、顧客リストのデータベース化や工数管理、勤怠管理など、今アナログでやっている何か一つを、デジタル化してみることが大切です。
こういったものであればクラウドアプリケーションも豊富にあるので、準備の手間や知識なしで、第一歩を踏み出すことが可能です。
>> 中小企業のDX化を阻む課題を解決する:⑤何から始めてよいかわからない
(6)導入したがオペレーションに落ちない

最後は番外編として、導入まではできたものの、オペレーションに落ちないケースの対策をお話しました。
実際に、せっかくDXを導入してみたのの、活用されず形骸化してしまったというケースも少なからずあるのは想像できます。
実は弊社も、導入当初はなかなか活用されず、試行錯誤を重ねてきました。
その中で、導入した DX が活用されるためのポイントは以下3点に集約されることがわかりました。
①データの民主化が実現されている
②グラフなどで可視化され、直感的に読み取れるかたちになっている
③データがコミュニケーションツールになっている
中でも「③データがコミュニケーションツールになっている」ことは、DXが活用されるために最も重要で、そのために「①データの民主化」で誰もが閲覧でき、「②グラフなどで可視化され、直感的に読み取れる」ことで誰もが理解できるかたちになっている必要があるのです。
データをコミュニケーションツールにするには、チーム会議や 1 on 1 ミーティングの際に、登録された日報データなどを画面で共有し、リソースの再配置や問題点についての相談を行うなど、データをもとにリアルな場面での問題解決につなげる機会を定期的に持つことです。
>> 中小企業のDX化を阻む課題を解決する:⑥導入したがオペレーションに落ちない
まとめ:全てのハードルを取り除く3つのポイント

中小企業のアンケートをもとに、DXを導入するにあたっての課題とその解決方法を解説してきましたが、中小企業がDX化を推進するためのキーワードは以下3つです。
・低予算のアプリを活用する
・小さなもののデータ化からスタートする
・クラウドサービスを利用する
豊富な予算や人材がいない中小企業で、DXに大きな幻想を抱いても動き出すことができません。
まずは低予算(1人月額数百円レベル)で、社内の一部のものをデータ化することで、一歩を踏み出すことが大切です。
その時にDX化の対象として何を選ぶかですが、「最も効果の高いもの」ではなく、「デジタル化のハードルが低いもの」を選ぶことです。
そしてクラウドサービスを活用します。クラウドサービスなら DX や IT の知識がなくてもスタートできますので、専門的な人材も必要ありません。
そして導入したクラウドサービスがオペレーションに落ちてくると、それに詳しい人材が社内で育ってきます。
そうなると、社内から「より有効なデータ活用」に関する意見があがってくるようになります。
この時点で、社内ではデジタルデータが必要不可欠な存在になっており、「DXの好循環」が回るようになっているはずです。
そしてデータ活用が社内文化となれば、無駄な部分がリアルタイムで可視化されるので、効率が上がり、時間にゆとりが生まれ、それがイノベーションが生まれる土壌となります。
中小企業のDX化は、一気にゴールを目指すのではなく、まずは小さな一歩を踏み出して、その後着実に一歩ずつ進むという意識が大切だと考えます。
弊社では、自社で開発・運用を行うDXアプリ「Playth(プレイス)」を活用しています。クラウドなので専門知識がなくても低予算で手軽にスタートでき、データ閲覧権限を設定する機能もあるので安心してデータの民主化を実現できます。またDX初心者にも分かりやすいインターフェイスで、会議や 1 on 1 でも活用しやすくなっています。ご不明な点などあればこちらからお気軽にお問い合わせください。
【出典・参考文献】
・中小企業の DX 推進に関する調査(中小機構):アンケート調査報告書 令和4年5月(2022年)



