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#76 中小企業のDX化を阻む課題を解決する:②具体的な効果や成果が見えない

具体的な効果や成果が見えない
前回の「現状認識」に引き続き、中小企業のDX化が進まない状況について、6つの課題に分け、その解決策を取り上げていきます。

【中小企業のDX化を阻む課題】
現状認識
②具体的な効果や成果が見えない ← 今回はここ
③予算の確保が難しい
④DX / ITの人材がいない
⑤何から始めてよいかわからない
⑥導入したがオペレーションに落ちない

今回は「②具体的な効果や成果が見えない」という課題について考えてみます。

DX課題(具体的な効果や成果が見えない)

(中小企業の DX 推進に関する調査のアンケート報告書をもとに作成)

【 目次 】

  1. DX=イノベーションという幻想
  2. まずは紙からデジタルへ
  3. クラウドサービスの活用
  4. 最初の一歩が次の一歩につながる
  5. 一歩を積み重ねてこそのイノベーション

 

 

DX=イノベーションという幻想

中小企業のDX化が進まない要因の1つとして、「DX=イノベーション」と思っている、つまりDXを大きくとらえ過ぎている企業が多いのではないでしょうか?

実際に著名なコメンテーターや有識者が、そのように語っているシーンを見かけることも多いです。

しかし現実的には、DXを導入したからといって、ほとんどの場合、自社のビジネスが魔法のように、一瞬で変わるものではありません。

DXへの大きすぎる期待は、同時に障壁ともなりうるのです。

例えばアマゾンの例で考えてみましょう。
アマゾンと言えば、DX化に成功している最先端企業といえるでしょう。

物流システムがDX化されていたり、無人のコンビニを作ってみたり・・・というように、メディアでも多く取り上げられています。

無人コンビニ

しかしこれを「DX」ととらえてしまえば、あまりにもハードルが高くなってしまいます。
まずは角度を変えて見てみましょう。

アマゾンの例にあるような DX 化は大きなイノベーションとも言えますが、シンプルに考えれば、「今まで人間が行っていたことを、デジタルに置き換えたDX化」ともとれるでしょう。

確かに人間がやっていたことをデジタルに置き換えるDXは、すぐに大きなコスト削減を実現します。つまり「具体的な効果や成果」が見えやすい部分です。

しかしそれだけに敷居が高いのも事実です。
 

 

まずは紙からデジタルへ

まず最初の一歩目としては、「人間がやっていたものをデジタルに置き換える」のではなく、「紙でやっていたものをデジタルに置き換える」ところから考える方がよいと思います。

かといって、「なんだ。コピー用紙のコストが減るだけか・・・」とがっかりしないでください。紙を使っていた業務をデジタルに置き換えることにより得られるメリットは、紙の使用量が減るだけではありません。

それよりも効果が高いのは、データ利用の自由度が上がるということです。データ化されているので分析したり、グラフ化したりすることもできますし、他の資料への使いまわしも便利になります。

こうして業務効率が上がり、従業員の時間の余裕も確保できる。確保できた時間をうまく活用すれば、大きなイノベーションにつながるチャンスは広がるでしょう。

このように少しずつ手順を踏んでいくことが必要なのですが、多くの経営幹部は「DX=変革」と、すぐにゴールを急いでしまいがちです。

だからDX化をスタートするにあたり、つい腰が重くなってしまうのではないでしょうか。
DXがもたらす”魔法のようなイノベーション”に「具体的な効果や成果」を期待せず、まずは小さな業務からデジタル化し、業務効率をアップすることから始めるのが大切なのです。

書類の山

 

 

クラウドサービスの活用

紙で行っていたものをデジタル化すると述べましたが、デジタル化といっても「手計算していたものを表計算ソフトにする」といった段階のものではありません。

確かに紙から表計算ソフトでも大きな進歩ですが、それでは今の時代の便益を十分に得られません。
是非クラウドの DX サービスを利用して、自ら表計算ソフトを使わなくても、グラフによる可視化や分析ができるものを活用しましょう。

クラウド化することによって、時や場所を問わずチームでデータを共有できるようになるのも利点です。

具体的に何から始めるかについてですが、今まで紙やメールで行っていた日報を、クラウドサービスに置き換えるというような簡単なことから始めるのがよいと思います。
クラウドなら各自がその日何の業務に何時間使ったかを、オフィスにおらず営業から直帰する社員も、移動中に入力することができます。

そしてある程度のデータが集まれば、それらが可視化されてプロジェクトの生産性や、各自の働き方の特性が見えてきます。

ユーザー一覧と個人詳細

とはいえこういったシステムを自社で開発しようと思えば大変です。
クラウドサービスを利用すればユーザー単位で数百円など安価に利用できますので、まずはここがスタート地点となるかと思います。
 

 

最初の一歩が次の一歩につながる

実際に小さな部分からDXを使い始めて数カ月が経てば、どのようなデータがどのように役立つのか、効果が見えてきます。

そして次の段階では、他にどのようなところからデジタル化するべきかという展望も見えてきますので、社内のデジタル化が徐々に進みます。
その結果として、社内でのDXに対する知識も浸透しますし、データ活用の文化も根付いてきます。

そうしているうちに、徐々に DX の効能と、できること、できないことが見えてきて、 DX 活用を業務効率化や生産性向上に結び付けられる状況ができてくるのです。

作業区分ごとの稼働状況

 

 

一歩を積み重ねてこそのイノベーション

そして社員の時間と気持ちに余裕ができた時、そこからはじめて変革が動き始めます。

このように、DX化によってイノベーションがいきなり生まれるわけではありません。小さなデジタル化による日々の積み重ねによって、イノベーションを起こす「土壌」を育てていくことが重要なのです。

小さなことからDXを進める一歩として、弊社の日報登録アプリ「Playth(プレイス)」ワークログもおすすめです。難しいマニュアルがなくても、分かりやすく見やすいインターフェイスで、導入したその日から手軽にお使いいただけます。

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ユーザー&作業区分ごとの稼働状況


【出典・参考文献】

中小企業の DX 推進に関する調査(中小機構):アンケート調査報告書 令和4年5月(2022年)


関根 聖二
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