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PMBOK 其の二十八:スチュワードの義務③「信頼されること」の秘訣は、透明性ある環境づくりと“板挟み”の突破

【戦国PM講座】
~PMBOK から学ぶプロジェクトマネジメント標準~

戦国WEBディレクション講座

ミネアサヒの指導のもとOJTでWEBディレクションの経験を積んできた新之助は、一層のスキルアップを目指し、PMBOKに基づく「プロジェクトマネジメント標準」を学び始めた。現在は「プロジェクトの原理・原則」の1番目「スチュワードシップ」の項をひもとき、スチュワードの義務4項目を順に学んでいる。前回の「他者の面倒を見ること」に続き、今回は……

登場人物紹介

~ プロジェクトマネジメント標準 3.1勤勉で、敬意を払い、面倒見の良いスチュワードであること④信頼されること ~

初回の接見に丸腰で挑むとは愚かなり!

ディレクターつや姫のワンポイントアドバイス

今日も殿を怒らせてしまいましたね。。。

スチュワードシップの義務4項目をおさらいしてみましょう。

誠実さ
面倒見の良さ
● 信頼されること ←今回はココ
● コンプライアンス

今回は3つ目の「信頼されること」です。信頼されるスチュワードとはどのようなものなのでしょうか。PMBOKの説明を確認してみましょう。

スチュワードは、組織の内外で、自分自身について、自らの役割、自らが関与するプロジェクト・チーム、自らが有する権限を正確に示す。このように振る舞うことで、個々人がどの程度、資源をコミットしたり、意思決定を行ったり、何らかの承認を行ったりできるかを、人々が理解できるようになる。
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】3 プロジェクトマネジメントの原理・原則 / 3.1 勤勉で、敬意を払い、面倒見の良いスチュワードであること)

スチュワードが自らのポジション・権限を明確にすることは、前回「面倒を見る(care)」の対象として挙げた「透明性のある作業環境」にもつながりますね。スチュワードのポジション・権限が明確であれば、チームメンバーはそれ以外のどの部分で自分が貢献できるかが見通せ、各分野のプロフェッショナルとして能動的に動きやすい環境となります。つまり、透明性のある環境下では、人は自らのすべきことを想像しやすくなるのです。

一方、信頼を失うことに関してはより具体的な記述があります。

信頼されることには、個人的な利益と組織やクライアントの利益との相反を積極的に把握することも伴う。このような利益相反は信頼と信用を失わせかねず、その結果、非倫理的または非合法的な行動を招いたり、混乱を生み出したり、最適な成果が得られなかったりする可能性がある。
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】3 プロジェクトマネジメントの原理・原則 / 3.1 勤勉で、敬意を払い、面倒見の良いスチュワードであること)

利益相反とは、二者以上の利害が対立する状況のことです。いわゆる“板挟み”は、多くのプロジェクトでは避けられない事態ですね。例えばWeb制作なら、クライアント側の要望とチームメンバー側の懸念とが衝突している場合などが代表的な例でしょう。

Webディレクターがクライアントの要望をそのまま制作メンバーに押し付けすぎれば、過重労働を生み「非倫理的または非合法的な行動」を招くことになりかねません。逆に、制作メンバーの言い分だけを聞いてクライアントの妥協を求めるばかりでは、クライアントとの信頼関係は構築できないでしょう。

この場合、Webディレクターはスチュワードとして双方の利益相反を積極的に把握し、調和を保つことで、信頼と信用を失うことを避けなくてはなりません

マル秘テクニックではありませんが、知っていれば対処できそうなポイントですね。新之助さん、ご参考になったでしょうか?

よき振る舞いがよきPMをつくる

(^^♪ 次回:「コンプライアンス」なんて当たり前?!


【出典・参考文献】
プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準(一般社団法人 PMI 日本支部,2021.274p.)
A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Seventh Edition and The Standard for Project Management (ENGLISH) By Project Management Institute Project Management Institute
Project Management Institute.
一般社団法人 PMI 日本支部


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