PMBOK 其の二十六:スチュワードの義務①「誠実さ」は背中で示そう
【戦国PM講座】
~PMBOK から学ぶプロジェクトマネジメント標準~
ミネアサヒの指導のもとOJTでWEBディレクションの経験を積んできた新之助は、一層のスキルアップを目指し、PMBOKに基づく「プロジェクトマネジメント標準」を学び始めた。しかし「プロジェクトの原理・原則」の章に入ったところで、スチュワードシップに求められることの幅広さに驚き、気が遠くなっているようだ……
~ プロジェクトマネジメント標準 3.1勤勉で、敬意を払い、面倒見の良いスチュワードであること ②誠実さ ~
ここではスチュワードの義務について詳しくご説明しましょう。ガイドによると、スチュワードには「暗黙的な義務と明示的な義務の両方を遵守する」ことが求められ、この義務には以下の4つの項目が含まれます。
● 誠実さ
● 面倒見の良さ
● 信頼されること
● コンプライアンス
では、これらを順番に見ていきましょう。今回はまず「誠実さ」です。
スチュワードは、すべての業務とコミュニケーションにおいて、正直に倫理的に行動する。スチュワードは、自身を最高水準に保ち、組織内の人々から期待される価値観、原理・原則、振る舞いを示す。
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】3 プロジェクトマネジメントの原理・原則 / 3.1 勤勉で、敬意を払い、面倒見の良いスチュワードであること)
つまり、プロジェクト内でメンバーの皆さんのロールモデルとして、それに相応しい行動を取ることが求められるわけですね。スチュワードが正直に、倫理的に振る舞うことで、周囲との信頼を構築し、それに倣うメンバーの行動も誠実になることが期待されます。そのために、自分自身を”最高水準に保つ”ことが求められているわけです。
なかなか高い要求ですが、前回触れた「ゴールへの指針」(目標やミッション、ビジョンなどをメンバーと共有する)の責任を、スチュワード自身が実践して周囲に示すことが大切、というお話と同じですね。
また、「チームメンバーへのコミットメント」や「ステークホルダーとの関係」もスチュワードの責任として挙げられていましたが、スチュワードが自分の行動やコミュニケーションを通じて、メンバーやステークホルダーが自身の言動を考えるように促すことで、さらによいチームが作られることが期待できます。スチュワード本人も自省し、周囲からフィードバックを受け入れ、チームの成果をより向上させるよう行動することも大切です。
スチュワードの「誠実さ」とは、自ら模範を示し背中で語りながら、双方向のコミュニケーションでチームを良い方向へ進むよう促すこと。メンバーにとっては、頼れるお兄さん・お姉さんのような存在かもしれませんね!
そういえばこの時の新之助さん、プロジェクトの序盤だからとのんびり過ごしておられましたが、スチュワードとして最初からテキパキ役割分担など進めないと、プロジェクトメンバーも新之助さんを見習って、のんびりムードになってしまいますね。
其の十六:ディレクターの初動がチームのモチベーションをつくる
(^^♪ 次回:部下がいないのに「面倒を見る」義務とは?
【出典・参考文献】
・プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準(一般社団法人 PMI 日本支部,2021.274p.)
・A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Seventh Edition and The Standard for Project Management (ENGLISH) By Project Management Institute Project Management Institute
・Project Management Institute.
・一般社団法人 PMI 日本支部