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#77 中小企業のDX化を阻む課題を解決する:③予算の確保が難しい

DX導入の予算の壁
中小企業のDX化が進まない状況について、6つの課題に分け、前回の「具体的な効果や成果が見えない」に引き続き、その解決策を取り上げていきます。

【中小企業のDX化を阻む課題】
現状認識
具体的な効果や成果が見えない
③予算の確保が難しい ← 今回はここ
④DX / ITの人材がいない
⑤何から始めてよいかわからない
⑥導入したがオペレーションに落ちない

今回は「③予算の確保が難しい」という課題について考えてみます。

予算の確保が難しい

(中小企業の DX 推進に関する調査のアンケート報告書をもとに作成)

【 目次 】

  1. 「DX=基幹情報システム」ではない
  2. 予算の壁を取り払うクラウドサービス
  3. 経験することで次の課題が見えてくる
  4. クラウドサービス選定の基準は?
  5. まとめ

 

 

「DX=基幹情報システム」ではない

今回の「予算の確保が難しい」という内容ですが、「DXには大きな費用がかかる」という印象から発生している課題だと思います。

しかしDX化は、実は月額数百円単位から始められるようになってきています。

DX化する・・・というと、ERP(Enterprise Resources Planning )のような、企業の大規模な基幹情報システムを思い浮かべる方が多いかもしれません。
確かに大企業が導入している ERP パッケージには、億単位のものもありますので、これを前提に考えれば予算がいくらあっても足りないでしょう。
 

 

予算の壁を取り払うクラウドサービス

しかし、DX にはもっと気軽に、低予算で導入できるものもあるのです。

DXはいきなり大きなことに取り組むよりも、スタートすることが大切です。しかし、大きなことを始めようとして一歩を踏み出せない中小企業が多いのです。まずは小さな一歩を踏み出せば、 DX についての理解が広がります。理解が広がれば、次の一歩が見えてきて、その先に繋がっていくのです。

そのためにも、まずは最も予算がかからず負担も少ない部分から、システム化することをおすすめします。

システム化するといっても、自社で開発しようとすれば予算も時間もかかってしまいます。それを解決できるのが、クラウドサービスです。今の時代、様々な業務アプリがクラウドで提供されています。

クラウドサービスとは、今までのように社内でデータやソフトウェアを管理するのではなく、ネットワーク経由で、サービスとして利用者に提供されるものです。利用者はサーバーの開設や管理も必要ないので、自社の PC やスマートフォンでそこに接続するだけでサービスを利用することができ、手軽に始めることが可能です。

まずは社内の業務全般ではなく、その一部からクラウドサービスを使ってシステム化することからはじめましょう。

例えば、今まで紙やメールで行っていた日報登録を、クラウドサービスの利用に移行するというように、日々行っている業務の一部をデジタルに変えるだけでも、 DX 化のスタートといえます。

日報登録システムであれば、ユーザー単位で月額数百円から始められるクラウドサービスもあります。クラウドサービスであれば導入コストが抑えられるだけでなく、準備も簡単なのが特徴です。

教育DXの未来
 

 

経験することで次の課題が見えてくる

まずは低予算でハードルの低いクラウドサービスを利用する中で、次の課題が見えてくるでしょう。

「自社で使うならもう少しいろいろな機能がほしい」という追加要望もあるかもしれません。

また、使っているうちに「既存の機能だと、うちの会社の業務にいまいちフィットしない部分がある。この機能を変更したい。」など、自社用にカスタマイズしたい部分も出てくるかもしれません。

このように、どうしても自社のオリジナルシステムが必要になってくるようなら、後から自社で開発すればよいのです。

導入する前から「うちにはどういうシステムが必要か?」という議論を始めてしまうと、機能がどんどん増えてしまい、開発予算が膨らんでしまいます。そして実際に長時間の設計と開発を経て使い始めてみると、使われない機能があったり、想像と違って使いにくいということも珍しくありません。

しかし、少し機能が足りないと認識していても、クラウドアプリを導入してしばらく利用してみることで、何が必要なのかが具体的に見えてくるでしょう。その段階から自社での開発をスタートするのであれば、無駄がありません。

まずは「DX化のために、大きな予算を確保しなければならない・・・」という考え方を改め、現在アナログで行っている何か一つの業務を、クラウドサービスに置き換えててみるところから始めることをおすすめします。
 

 

クラウドサービス選定の基準は?

数多あるクラウドサービス。費用、知名度、サポート体制・・・どんな基準で選べばいいのでしょう?

注意すべきポイントは、サービスを乗り換える必要が出てきた際に置き換え可能なものを選ぶことです。

例えば、勤怠データなら、CSVファイルなどでダウンロードできる機能が備わっていれば、システムを乗り換える場合も、自社で開発する場合も、過去のデータを新しいアプリケーションに引き継ぐことがスムーズになります。

過去の重厚長大なシステムと違って、現在は柔軟性の高いシステムが増えています。いざとなったら大きな負担なしで他のものに乗り換えられる、現代的なシステムを選択することがポイントです。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

まずはDX化を重くとらえず、日報やタイムカードなど社内のほんの小さな業務から、負担のない料金のクラウドサービスでデジタル化することをおすすめします。

実際にシステムを使う経験によって、次は何をすればよいのか、自社にとって何が必要なのかが明確になってきます。
もし大きな予算を使うとしたら、その後のタイミングで十分ですし、それまでの経験を反映できるので無駄なく洗練された設計ができるでしょう。

ぜひ最初の小さな一歩を踏み出していただければと思います。

では、予算の問題がクリアできたとして、具体的に誰が社内のDX化を推進すればよいのでしょうか?
中小企業には「予算」だけでなく「ITやDX人材の不足」という問題があるのも事実です。
それは次回、改めてお話させていただきます。

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【出典・参考文献】

中小企業の DX 推進に関する調査(中小機構):アンケート調査報告書 令和4年5月(2022年)