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edit 関根 聖二
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#69 業務効率化を実現した弊社のDX現場活用事例

DXの具体的な活用事例
今までこちらのブログを通して、DX活用のメリットを継続的にお伝えしてきました。
今回は、弊社が自社開発の工数管理アプリ「Playth(プレイス)」を、実際にどのような場面でどう活用して、業務効率化を実現しているかを、プロジェクトの進行に沿ってご紹介します。

【 目次 】

  1. クライアントから新規プロジェクトの相談を受けたら
  2. 正式に受注が決まったら
  3. 外部パートナーをアサイン
  4. プロジェクト進行中
  5. プロジェクト中盤以降
  6. 納品
  7. 振り返り
  8. バックオフィス側の処理
  9. 工数管理 DX で得られるメリット
  10. 工数管理 DX のデメリット
  11. まとめ

 

 

クライアントから新規プロジェクトの相談を受けたら

◆プロジェクトを新規登録
まずはわかっている情報でプロジェクトを登録します。
あらかじめ登録されている顧客DBから顧客を選択し、社員DBからプロジェクトメンバーを選択します。
プロジェクトを顧客と結びつけることにより、プロジェクト単体の収支だけでなく、顧客単位での収支や売上推移を確認できるようになります。

プロジェクト登録

◆プロジェクトメンバーをアサイン
各メンバーの現在の稼働状況や、今までのプロジェクト経験などを確認して、アサインするメンバーを検討します。

ユーザー別稼働集計一覧

プロジェクトにメンバーを登録することで、追加されたプロジェクトメンバーは、このプロジェクトに対して工数を登録できるようになります。これにより各メンバーの当プロジェクトに対する工数や、プロジェクトをまたがっての稼働状況が確認できるようになります。

◆注文状況を「未受注」に設定
顧客から相談を受けた段階では受注にいたっていないので、注文の状況としてステータスは「未受注」を選択します。
注文の状況には「未受注」「受注」「失注」「完了」という選択肢があり、注文の状況ごとにプロジェクトを絞り込んで集計することが可能です。

 

 

正式に受注が決まったら

◆プロジェクトの注文状況ステータスを「受注」に変更
先ほど「未受注」と登録していた「注文の状況」を「受注」に変更します。

これにより、ある期間の売上高を集計する際、「受注」のプロジェクトのみ絞り込んで確実な売り上げ予測を見ることもできますし、「未受注」も含めてマックスの売上予測を見ることもでき、売り上げ予測の精度が上がります。

ちなみに、もし顧客から相談を受けたものの受注に至らなければ、注文の状況を「失注」というステータスに変更して、プロジェクトを終了します。

◆請求額や請求時期を登録
注文状況が「受注」になったら、請求額や請求日・納品日など確定した内容を登録します。
請求額や請求日が入力されれば、該当の期間に請求が発生するプロジェクトを絞り込むことができ、その合計金額を見ることで先の見通しが立てられるようになります。
 

請求一覧

 

外部パートナーをアサイン

いよいよプロジェクトが動き出すにあたって、外部パートナーを活用する際には、外部パートナーの選定という作業が入ります。

◆外部パートナーの選定
データベースから、「デザイン」「システム開発」「写真撮影」等、外部パートナーの得意分野で絞り込むことができます。出てきたリストから、各外部パートナーが、過去どのプロジェクトに、どれくらいの予算で携わったかを確認し、今回のプロジェクトに見合う外部パートナーを選定します。
不明点がある場合は、過去のデータから該当の外部パートナーに依頼した経験のある社内担当者に連絡し、その時の様子を確認します。

外部パートナー絞り込み

◆プロジェクトに外部パートナーを登録
外部パートナーが決まったら、プロジェクトページに外部パートナーとその費用を登録します。
この費用とプロジェクトメンバーの工数がプロジェクト予算から引かれ、該当のプロジェクトにあとどれくらいの予算が残っているか、リアルタイムで表示されます。

プロジェクト予実管理

 

 

プロジェクト進行中

プロジェクトが本格的に進行し始めれば、各プロジェクトメンバーが日々の工数を日報として登録することになります。
この際、日報登録がプロジェクトメンバーの負担にならないよう、登録の負荷を極力軽減する必要があります。

◆日報登録
各メンバーが、日々どのプロジェクトに何時間使ったか、日報に登録します。
Playth では、日報登録に時間がかからないよう、「 Play 」機能を使って登録できる効率的なインターフェイスを用意しています。
プロジェクトや業務内容を選んで「 Play 」ボタンを押せば、そこから登録が開始されます。

日報登録方法

プロジェクト、業務区分、業務詳細を選んで「▶Play」

>>Play 機能の詳細はこちら

◆1 on 1ミーティング
週に1回など定期的な 1 on 1 ミーティングの中で、上司と一緒に、自分の該当期間の業務状況を画面共有しながら確認します。
このタイミングで、必要以上に多くの時間をかけているプロジェクトなどあればその原因を確認し、上司からアドバイスするなどして、プロジェクトを前に進めていきます。
場合によっては見積書や設計書など、ドキュメントを共有して、一緒に作業することもあります。

部下のワークログ

無駄な工数の原因は「迷い」や「悩み」から発生していることが多く、定期的な相談の時間をつくり、各自の「稼働状況」というエビデンスを共有しながら話すことで、これらを発見し、解消することが、業務効率化につながっています。

◆登録情報の更新
プロジェクト進行中に予算やスケジュール、プロジェクトメンバーなどの変動があった場合は、該当のプロジェクトを最新の情報に更新し、プロジェクトメンバーと共有しながら業務を進めます。
 

 

プロジェクト中盤以降

プロジェクトが中盤以降になると、全体の見通しも立てやすくなってきます。この時点でプロジェクトリーダーは、一度これまでのプロジェクトの経緯を見返し、場合によっては軌道修正を行います。

◆予算に対しての工数消化状況を確認
まずはシンプルに現状を把握するため、グラフによって可視化された予算の消化状況を確認します。

プロジェクト収支・予実管理

プロジェクトの進捗に対して、予定よりも多くの工数を使ってしまっていた場合、プロジェクトメンバーで進行方法の見直しを行い、改善を図ります。

これまでの進行状況を見直すには、以下2つの指標が役立ちます。

◆作業区分ごとの稼働状況
作業区分ごとの稼働状況
作業区分ごとに、該当期間にどれくらいの工数がかかったかという推移を閲覧することができます。これによって、「仕様の決定に時間がかかったため、設計部分の工数が跳ね上がった。また、上流工程の遅れにより下流工程に集中的な負荷がかかった。」など、プロジェクトの状況が可視化され、具体的に振り返ることができます。

◆ユーザーごとの稼働状況
ユーザーごとの仕掛稼働状況
プロジェクトを通して誰が何時間工数をかけているかがランキング形式で表示されます。
これにより、「デザイナーAさんの工数が多いが、今回は顧客の意図を読み切れていなかったためやり直しが発生した。次回以降は事前にいくつかのラフを提出し、方向性を明確にしてからデザイン作業に入ろう。」「Bさんの工数が多くなったが、今回は経験として新たなことに挑戦しているので、学習コストとして受け入れよう。」など、具体的な検討ができます。

特定のメンバーに負荷がかかってしまっているなど、必要があればスケジュールの見直しを行います。
 

 

納品

プロジェクトが完了し、納品した後には以下のような処理を行います。

◆注文の状況を「完了」に
請求書の発行が完了したら、プロジェクトの注文状況を「完了」に変更します。
注文状況が「完了」になることで、プロジェクトメンバーが日報を登録する時のリストに表示されなくなります。
 

 

振り返り

納品が完了したら、プロジェクトメンバーで振り返りを行い、今後の改善内容や、継続すべき内容を話し合います。

振り返りの際には、プロジェクト中盤でご紹介した「作業区分ごとの稼働状況」や「ユーザーごとの稼働状況」が役立ちます。これらを共有しながら話し合えば、なんとなくの感覚で振り返るのではなく、可視化されたエビデンスをもとに具体的な改善案を話し合うことができます。

ユーザー&作業区分ごとの稼働状況

弊社ではこの振り返り内容を、全社の定例会議の時に共有しています。
そうすることで、プロジェクトメンバーの経験値向上のみでなく、社内全体のナレッジを積み上げることができます
 

 

バックオフィス側の処理

ここからはプロジェクトメンバーではなく、バックオフィス側の運用対応となります。

◆請求書発行漏れチェック
弊社では、請求書を発行したらプロジェクトのステータスを「完了」にすることをルールとしていますが、これは請求書の発行漏れを防ぐために有効です。

プロジェクトが終了していれば、プロジェクトメンバーはそのプロジェクトの日報をつけなくなります。注文状況が「完了」や「失注」になっていない(つまりプロジェクトが終わったことが登録されていない)プロジェクトは、一定期間誰からも日報登録がないと、プッシュ通知(メール)が届くようになっています。
これによって、稼働がない(=完了しているが請求処理などされていない可能性がある)プロジェクトがそのまま放置されることがなくなり、請求漏れを防ぐことができます。

◆外部パートナーからの請求書確認
経理に外部パートナーからの請求書が届いたら、その請求がプロジェクトに登録されているかどうかを経理担当がチェックします。

これにより、どのプロジェクトの経費なのかを明確にできると同時に、外注費が経費としてプロジェクトに組み込まれず、漏れてしまうことを防ぐこともできます。
 

 

工数管理 DX で得られるメリット

弊社が工数管理 DX をどう活用しているかを具体的に説明してきましたが、この工程で得られるメリットをまとめさせていただきます。

◆外注選定の簡易化(業務効率アップ)
外部パートナーの選定は、特に入社間もないメンバーには難しいものです。外部パートナーの得意分野や過去の実績、予算などのデータを閲覧できることで、ベテランの頭の中にあったものを社内全体の知見にすることができます

◆予算状況をリアルタイムで把握(業務効率アップ)
予算のうちどれだけの工数を使っているかがリアルタイムで確認できますので、プロジェクトメンバー自ら効率アップを意識して業務を進める環境が構築できます

◆エビデンスに基づいた改善・振り返り(業務効率アップ、人材育成)
プロジェクト終了後に具体的なエビデンスをもとに振り返り、改善点を挙げることで、次の業務の効率アップにつながります。
またその振り返りを、プロジェクトメンバーだけでなく、社内全体に共有する機会を設ければ、全体のナレッジとなり人材育成にもつながります。

◆効果的な 1 on 1 ミーティング(業務効率アップ、人材育成)
1on1
何もなしに 1 on 1 を実施して成果を得ようとすると、上司側のコーチングスキルへの依存度が高くなります。エビデンスがあってそれを共有しながら話すことが、どの上司でも 1 on 1 で一定以上の効果をあげられるための、強力なサポートとなります。

また、  1 on 1 ミーティングで部下の「悩み」や「迷い」を解消することにより、無駄な時間を削減することができます。

◆請求漏れ防止(バックオフィス業務の効率化)
一定期間稼働していないプロジェクトはプッシュ通知されるので、請求漏れに気づくことができます。
また、プロジェクトを請求期間で一覧表示し、売り上げ予定の合計を確認できるので、先の売り上げ予定が見え、予算の見通しや戦略を立てることに役立ちます。
 

 

工数管理 DX のデメリット

工数管理の導入でデメリットとなる部分もありますのでご紹介します。

◆プロジェクトデータ、顧客データ等の登録の手間
データの登録は、人によっては負担と感じるかもしれません。
新規顧客のプロジェクトであれば、プロジェクトを登録する際に、顧客のデータ登録から始める必要があります。
文字入力に時間がかかる人であれば、手間と感じる可能性があります。

これについては、顧客名など最低限の情報で登録できるように設計していますので、その他の情報は必要に応じて後から追加することが可能です。

◆日報登録の手間
毎日どの業務に何時間かけたかを登録するのが手間だと感じる方は多いかもしれません。

Playth の日報登録については Play 機能があり、プルダウンでプロジェクトや業務内容を選択して「 Play 」ボタンを押せば、リアルタイムで日報を登録できます。
仕事が終わって早く帰りたいというタイミングで日報をつけるのは面倒ですが、これであれば「 Play 」をストップしてすぐに退勤できます。

また、登録内容がグラフィカルに可視化されるので、それを 1 on 1 などの機会で活用するようになれば、各メンバーが日報登録の有効性を理解し、日報登録に対するモチベーションも上がります。

◆情報の民主化による懸念
DXツールを使ってデータを民主化することで、多くの情報を社内メンバーが閲覧できることになります。これによって不都合を感じる組織もあるかもしれません。

特に、そのプロジェクトに関係していない社員が、自分の参加していないプロジェクトを閲覧できてしまうのは問題があります。
また、社内の情報でも、時間給のように、プライバシーに関する人事情報などは、他のメンバーに知られないよう、管理する必要があります。

Playth では閲覧権限、編集権限に対する詳細な設定ができるようになっており、いくつかの権限グループを用意しておき、そこにメンバーを割り当てることができます。
これにより閲覧できる情報を担当プロジェクト別、職務階層別など、自由に制御することが可能です。

 

 

まとめ

DXによる情報共有の仕組み化でゆとりの上司
大切なのは、常にメンバー全員が状況を可視化できるようにし、それを共有することです。
これにより、誰かから促されるのではなく、現場のメンバーが率先して業務効率の向上に取り組む環境ができます。

データ化された内容をもとに振り返り、今後の活動を改善することで、現在だけでなく、未来の業務効率化にも貢献しているのです。

今回は弊社の DX 活用事例をご紹介しましたが、弊社のような受託開発ソフトウェア業やクリエイティブ業界だけでなく、他の業界でも工数管理 DX を活用することで業務改善への効果が期待できると考えています。 Playth をそのまま使っていただくこともできますし、御社の既存 DB と連携するなどカスタマイズも可能です。詳細なご質問などは、こちらからお気軽にお問い合わせください