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ドラクエ10から学ぶゲーミフィケーション6手法

教育やマーケティング等様々なところでゲーミフィケーションという手法が応用されるようになっています。

本題に入る前に念のため「ゲーミフィケーション」について補足させていただくと、ウィキペディアでは以下のように説明されています。

「ゲーミフィケーション(gamification)とは課題の解決や顧客ロイヤリティの向上に、ゲームデザインの技術やメカニズムを利用する活動全般。」

 

なぜ子ども達は、勉強は続かないのにドラクエでスライムを何十匹も倒すという退屈な作業を繰り返し続けることができるのか。

この二つ(「勉強」と「スライム」)の差は「勉強すれば将来何かの役に立つ(かも)」という遠くて霧の向こうにある目標よりも「あと30匹スライムを倒せばレベルアップして強くなれる」という近くてはっきり見えている目的の方が人のモチベーションに寄与しやすいということを物語っています。

ゲームには人を動機付ける様々な工夫がされており、こういったゲームの良さを問題解決に応用しようというのがゲーミフィケーションです。

今回はゲーミフィケーションをデジタル教材にどう活用するかということで、ドラクエ10を題材にしてあらためてまとめてみました。

 


【ドラクエ10から学ぶゲーミフィケーション6手法】

 

①インターフェイスの学習(アンロック)

ゲームでもデジタル教材でもインターフェイスの中には様々な機能が盛り込まれていますが、その使い方をいちいち説明せずにユーザーが直感的に利用できるということが重要です。

ゲームならまだしも、「教材」となるとユーザーがわざわざ説明書を見ながら利用してくれることは期待できません

そこで有効なのが「アンロック」というノウハウ。

最初はできることを限定しておいて、鍵を一つひとつ開けていくようにユーザーができることを増やし、徐々にインターフェイスを学習しながら発展的な機能の使い方を覚えていくことを補助します。

 

ドラクエ10も最初はオフラインで、一人でプレイすることになります。

今回がシリーズ初のオンライン化ということもあり、オンラインゲームに慣れていないユーザーが躊躇なく最初の一歩を踏み出せるよう設計されているのでしょう。

そしてユーザーがゲームの基本操作に慣れた頃にオンラインになり、五つの大陸のうち一つの大陸に限りストーリーが展開します。

さらにある程度ゲームが進むと鉄道が利用できるようになり、五つの大陸をまたいで自由にストーリーを展開できます。

最初から五つの大陸をまたいで「自由」に遊べるようになっていたのでは、オンラインゲームに慣れていないユーザーはどうすればいいかわからないでしょう。

 

このようなアンロックという手法は教育インターフェイスでも是非参考にしたいところです。

今のデジタル教材にはいろいろな学習補助機能が用意されていますが、まずはシンプルな機能のみ利用できる学習からスタートさせ、徐々に使える機能を増やしてユーザーが使い方を覚えていく中で発展的な機能が利用できるような設計が理想的だと思います。

 

 

②他の誰かの存在を知らしめる

若者がなぜオンラインゲームにハマるのか、やはりそこには誰かの存在があるからです。

私もオンラインゲームは不慣れなのであまり他のプレイヤーと積極的にコミュニケーションをとることはしませんが、誰もいないサーバでプレイするのは寂しく、ついつい程よく人のいるサーバを選んでしまいます。

そして不慣れながらも、初歩的なコミュニケーションをとります。ドラクエ10でいうと、闘っている人を応援することができ、応援されたプレイヤーは一時的にテンションが上がって攻撃が強くなったりします。また応援したプレイヤーから「ありがとう!」等の返事をもらえるのが通常です。

 

eラーニングでも特に気を付けたいのはこの「他の誰かの存在」を感じさせることだと思います。

勉強というのはどうしても孤独を感じがちです。

今思えば私が受験勉強の時に深夜ラジオ(時代がバレますが)を聞いていたのも、誰かの存在を感じたかったからかもしれません。。。

同時期に学習中のユーザーの存在を画面のどこかで感じさせてあげるのも、今の若者のようにいつでもだれかとオンラインでつながっていることが当たり前の学習者には当然と思われる機能かもしれません。(教育者側からは画面の邪魔に見えがちですが・・・)

 

 

③名誉・競争意欲、仲間意識

オンラインゲームでは他のプレイヤーと様々な箇所ですれ違いますが、恰好いい武器や防具を持っている人を見かけると自分も欲しくなるものです。そしてゲーム内通貨を稼ぐモチベーションになります。

教育でも名誉・競争意欲を利用するものが増えており、学習を進めるとポイントが得られ、自分のアバターに新しいアイテムを付けることができるものもあります。ソーシャルゲームでは初期から使われてきた手法です。

 

また、オンラインゲームで他のプレイヤーとパーティを組んで遊ぶような仕組みの中では、「自分が弱いと迷惑をかける」という仲間意識も発生します。

これもレベル上げなどのモチベーションとしては意外に強い要素です。

 

このような「他のメンバーに申し訳ない」という意識はまだ教材では利用されるケースが少ないように思います。

デジタル教材の場合他のユーザーと順位を競うような仕組みはありますが、基本個々で学習を進めるパターンが多いのが現状です。

数人で学習グループを作れる仕組みを用意して、学習グループで制限期間内に一つの単元をクリアするとより多くのポイントが得られるようにすれば、相互に応援し合い「他者(仲間)の目」という適度な緊張感もあって、学習の達成度が上がるかもしれません。

 

④達成欲求を満たす「複数」の要素

ドラクエ10でいうと、レベルアップ、ゴールドを稼いでアイテム強化、「小さなメダル」集め、「キーエンブレム」集め、「名声」・・・などゲームを進めるうえで複数の達成要素が同時進行で進みます

何かで行き詰っても他の何かが進んでいくことで継続意欲を保つことができる仕組みです。

「次のレベルアップ」という達成感までにはかなり時間を要するとしても、その間に新しい武器を買って強くなることができればプレイヤーが継続意欲を失う前に達成感を味わうことができます。

 

学習でも勉強の内容が難しくて行き詰った時、人の応援をしてみたりアドバイスをしてみたりなど、別のモチベーションがあると学習停止というリスクを減らせる可能性があります。

学習達成度と正解率などが一般的な達成要素ですが、学習を日々継続した「継続度」、人を応援したりアドバイスをしたりといった「貢献度」など様々な指標を用意し、学習がうまく進まない学習者にもそれ以外の要素(努力やコミュニケーションなど)で何かしらの達成感があることが動機づけになると考えられます。

 

 

⑤他者による貢献の期待

ドラクエ10では「酒場」というものがあり、そこに自分のキャラクターを登録するとゲームを離れている間に他のプレイヤーが自分のキャラクターを使ってゲームをすることができます。

自分のキャラクターを使ってもらえると経験値がたまるので、次に自分がゲームを再開した際、うまくいけば多くの経験値を得てレベルアップへの貢献が期待されます。

 

学習でも自分がログインした時に他者から自分に対する何らかのアクションが残っていると、ログインへの一つの動機づけになると思われます。

応援メッセージ等のやりとりも考えられますが、他者から自動生成された出題を提供され、それに答えて出題を返すなど、学びの要素を含むこともできると思います。

 

⑥誰かの役に立ちたいという欲求

ドラクエ10をプレイしていて、誰かの手助けをしたい人が意外と多いと感じました。

自分より弱い人を助けて小ボスを倒すために、序盤の町などで助けを求められることを待っている人もいます。

 

同じく教育においても、誰かの役に立ちたい、例えば自分が学んだことを誰かに教えてあげたいという欲求があると思います。

学びを終えた人をそのままシステムから除外してしまうのではなく、サポーターとして残ってもらい後輩のサポートを行いながらもさらに学びを深めるてもらうということも有効に機能するかもしれません。

多くのユーザーを残すことはサーバの負荷にもつながりますが、より高度な内容の学習を提供した際には、彼らが再び学習者になってくれる可能性もあります。

 


【まとめ】

 以上、ドラクエ10から教育に活かせそうな要素をあげてみましたが、同ゲームのモチベーション設計にも、中には「これはどうかな?」という意味で参考になったものもありました。

 

ドラクエ10は最初人間のキャラクターから始まって、序盤で人間以外の種族になるのですが、キーエンブレムを集めると再び人間に戻ることができます。私の場合は人間に戻れた時点で大きな達成感を味わい、そこでしばらくゲームにログインしなくなりました。

 

小刻みな達成感を感じさせることは大切ですが、あまり大きな(ユーザーが満足してしまうような)達成感がゲーム途中にあるのはかえって良くないと感じました。

途中の達成感はホドホドに演出して、最後にとっておくのがコツのようです。