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「マインドフルネスでワークスタイル改革」 荻野淳也さまInterview 前編

マインドフルネスとは、

“今をありのままにしっかりと認識する”

という心の在り方のこと。日々の実践によって高めることができ、また心身の健康や能力アップなど多くの恩恵が注目され、医療・心理はもちろん、現在は人材育成・組織開発の基盤づくりとしてマインドフルネスが取り入れられるようになっています。スパイスワークスでもマインドフルネスの取り組みを行なっており、メンバーの能力開発に活かしています。

こんにちは!スパイスワークスディレクターの近藤です。
今回は、マインドフルネスに基づいた人材育成、リーダー育成を行なっている荻野淳也さんに、マインドフルネスの大切さについて伺いました。荻野さんのインタビューを2回にわたってお送りします。前半は、荻野さんがマインドフルネスと出会ったきっかけ、どのようなときにマインドフルネスを意識しているのかについてご紹介します。

荻野淳也さんプロフィール

大手住宅メーカー、外資系コンサルティング会社、ベンチャー企業役員を経て、2008年株式会社ライフスタイルプロデュース、2013年に一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)を設立。現在、企業向けにマインドフルネスを活用したリーダーシップ、コーチング、チームビルディングなどのセミナーを開催している。

荻野さんがマインドフルネスの大切さに気付いたきっかけを教えてください。

私は以前、外資系のコンサルティング会社の経営企画室長として働いていました。1日の勤務時間は16~20時間。典型的なワーカホリックでした。私がいたのは創業2年のスタートアップ企業で、当時はみんなで上場を目指し一丸となって頑張っていました。2004年くらいの頃はIPOブームがあって、ライブドアや村上ファンドなどが注目を集めており、「我先に」とたくさんのベンチャー企業が上場を目指す風潮にあったんです。そんな中で、私がいた会社は創業から2年11ヵ月という記録的な短期間で上場を実現することができました。上場までもずっと忙しくて、家に帰れないこともしょっちゅう。「上場したら楽になるのかな」と思っていたのですが、より一層忙しくなったんですね。私は教育体制の仕組みを作ったり、ITインフラの整備やサーバ管理、社内システムの企画、さらには他メンバーが対応しきれない案件のコンサルティングなんかも手掛けていました。

上場前は、みんなが上場という目標に向かって頑張っていたので、仕事を頑張るモチベーションがあったのですが、実際に上場してしまうと、次は何を目指したらいいのだろう?という気持ちになっていました。会社として進むべき方針を定めて、社外に発表しているのに、自分自身はやり甲斐を感じられなくなって、頑張ることができない。段々と苦しくなってきたんです。仕事もこなせなくなってきて、上手くアウトプットもできない。社長やメンバーからの目が気になるようになりました。ある日、朝礼で話をするときに、ろれつが回らなくなったんです。緊張しているのか何なのか、どうしたんだろう…と、理由がさっぱり分からない。後で振り返ってみると、この状態はかなり危ない信号でした。つまり、鬱状態です。病院に行けばきっと鬱だと診断されるだろう、そうしたら仕事が止まってしまう、と変な責任感から病院に行くこともしませんでした。当時私はタワーマンションの30階に住んでいたのですが、終電で帰ってきてふとベランダに出て、ここから飛び降りたら楽になるのかなと思うことがありました。死にたい、じゃなくて、楽になりたい、という感覚なんですよね。でも両親の顔が浮かんできて、我に返るというのを繰り返していました。今考えても、危ない状態ですよね。

そんなとき、たまたま友人がヨガに誘ってくれたんです。ちょうどヨガブームが来ていた時期で、ただ興味半分に行ってみることにしました。初めの60分はヨガのポーズをして、その後30分間は長めの瞑想をする。90分のクラスが終わった後、今まで味わったことのない衝撃を受けたんです。頭の中はタスクでいっぱいだったのにクリアになっているし、体もスッキリしている、心もストレスが充満していたのに無くなっている。今からすると、これがマインドフルネスの状態ですよね。あまりにもスッキリしていたので、「なんだこれは!」と大きな衝撃を受けました。この状態を毎週1~2回でも取り戻せていれば、もっとパフォーマンスが上がるな、と思いました。まださらに仕事をするのか、という感じですが(笑)。

本当にワーカホリックで余裕のなかったとき、ヨガや瞑想を通じたマインドフルネスに救われました。私にとってマインドフルネスは、平和で幸せな人生に欠かせないもの、人生のベースにあるものになったんです。私の周りには、がむしゃらに働いているメンバーも同僚も、友人もたくさんいました。そういう姿を見ていて、「マインドフルネスって、みんなに必要なことなんじゃないか、これを伝えていきたい」と思ったんです。

ヨガ以外に、日常的にマインドフルネスを保つための活動はありますか?

私が会社員時代に行なっていたのは、土いじりです。週末に長野のほうに足を運び、ただ一心不乱に作物を収穫したり、田植えをしたり。今では、朝起きて、静かな時間に5分10分、時間があるときは30分、外国の有名な瞑想の先生のガイドを聞きながら座って瞑想しています。“今を集中する”ということで言えば、ジョギングもそうですし、武道、華道、茶道もマインドフルネスを鍛錬するためのものだと思います。

あとは、仕事中にも心掛けていますね。一日に何回もセミナーやワークショップがあると、心に余裕がなくなってしまうのですが、そういうときはリセットする意味で、移動中にしっかり今に集中するようにしています。お客様のオフィスを訪問する前、例えばエレベーターに乗る前や乗っている最中、打ち合わせスペースで待っている間の30秒、1分で瞑想するとか。プログラミングやコーディングの仕事も、今ここに集中する、ということで言えば同じです。それが、ビジネスパーソンにおいての本来やるべきマインドフルネスだと思うんですよ。

実は、人と話しているときも、私たちは人の話を聞いているようで聞いていません。「次に何をしゃべろうかな」「こういうことを話してあげようかな」「僕はこの人と違う考え方だな」とか。目の前の人の話に集中しているようで、実は自分の考えに意識が向かっています。そういうときは、自分の心地よい“マインドフルネスの領域”に常に戻ろう、という意識は持っていますね。“今ここにクリアに集中している状態”がマインドフルネスなので、仕事中、瞑想中、会話中、半身浴中など、自分が起きている時間全てがマインドフルネスを鍛錬できる時間になるんです。

 前編はここまでです!
インタビュー後編はこちら!!
「マインドフルネスでワークスタイル改革」 荻野淳也さまInterview 後編