PMBOK 其の三十五:協働的なチーム構築のために、役割・責任を明確にしつつ縦割りを避けるには?
【戦国PM講座】
~PMBOK から学ぶプロジェクトマネジメント標準~
ミネアサヒの指導のもとOJTでWEBディレクションの経験を積んできた新之助は、一層のスキルアップを目指し、PMBOKに基づく「プロジェクトマネジメント標準」を学び始めた。「協働的なプロジェクト・チームの構築」には、チームの合意、組織構造、プロセスの3点が重要であることがわかった。さらに、これらを踏まえてチーム内で明確にするべきことがあるという。
~ プロジェクトマネジメント標準 3.2協働的なプロジェクト・チームを構築すること⑤役割と責任 ~
ここまで、プロジェクトの原理・原則の2番目「協働的なプロジェクト・チームを構築すること」のポイントとして、次の3つのポイントを学んできました。
今回は、これらをうまく機能させるための「役割と責任」についてご説明します。PMBOKでは次のように述べています。
役割と責任を明確にすることで、チームの文化を改善できる。
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】3 プロジェクトマネジメントの原理・原則 / 3.2 協働的なプロジェクト・チームを構築すること)
つまり、チームメンバーが動きやすくなりますよ、ということですね。同じようなお話は(プロジェクトの原理・原則の1番目)「スチュワードシップ」の「信頼されること」の項目にも出ていました。
スチュワードは、組織の内外で、自分自身について、自らの役割、自らが関与するプロジェクト・チーム、自らが有する権限を正確に示す。このように振る舞うことで、個々人がどの程度、資源をコミットしたり、意思決定を行ったり、何らかの承認を行ったりできるかを、人々が理解できるようになる。
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】3 プロジェクトマネジメントの原理・原則 / 3.1 勤勉で、敬意を払い、面倒見の良いスチュワードであること)
協働的なチームのための「役割と責任」には、タスクに関連した権限、説明責任、実行責任が含まれます。
権限:
意思決定や承認、手続きの確立や改善、プロジェクト資源の適用を行う権利を持っている状態です。権限は誰かから誰かに付与されます。
説明責任:
成果について説明する責任です。人によって説明が違ってしまうことを避けるためにも、説明責任は複数人で共有されません。責任を負わない人が不用意な説明をすることは避けましょう。
実行責任:
実際に何かを行い、完了する責任です。様々な実行内容を複数のメンバーが実行することがあるので、実行責任は複数人で共有できます。
まさに、「スチュワードの義務」で学んだ「信頼されること」や「面倒を見る」の精神と同じことですね。
以前のWebディレクション講座でも、メンバーは「しっかりしたプロジェクトにはしっかり臨む」ことを学びましたね。責任を持って行動する協働的なチームを構築するには、ディレクターの初動が肝心です!
戦国WEBディレクション講座「其の十六:ディレクターの初動がチームのモチベーションをつくる」
(^^♪ 次回:チームの多様性を活かして成果と成長を実現!
【出典・参考文献】
・プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準(一般社団法人 PMI 日本支部,2021.274p.)
・A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Seventh Edition and The Standard for Project Management (ENGLISH) By Project Management Institute Project Management Institute
・Project Management Institute.
・一般社団法人 PMI 日本支部