PMBOK 其の三十一:個人の成長とベストな成果を実現する、理想的なチームを構築しよう
【戦国PM講座】
~PMBOK から学ぶプロジェクトマネジメント標準~
ミネアサヒの指導のもとOJTでWEBディレクションの経験を積んできた新之助は、一層のスキルアップを目指し、PMBOKに基づく「プロジェクトマネジメント標準」を学び始めた。プロジェクトマネジメントの原理・原則の1番目「スチュワードシップ」の項目を終え、原理・原則の奥深さを知る新之助であったが、その道のりはまだ長いようだ。
~ プロジェクトマネジメント標準 3.2協働的なプロジェクト・チームを構築すること①チームとは ~
PMBOKガイド第7版の英語版において、「協働的なプロジェクトチーム」に当たる部分は「COLLABORATIVE PROJECT TEAM」と表現されています。確かに“Collaborative” には「協力的な」という意味もあります。しかし、プロジェクト・チームのあり方の表現としてはマッチしません。
例えば、クラウドファンディングのプロジェクトへ寄付することも「プロジェクトに協力した」と言えますが、これはプロジェクト・チームに所属していなくてもできることです。一方で「協働」には、同じ目標を持って共に仕事に取り組みより好ましい結果を得るという、「協力」よりも強い関係性を表すニュアンスがあります。“Collaborative”を「協働的な」と訳したことにはこんな意図があったんですね。単なる役割分担にとどまらない「協働」の姿勢は、前回までの「スチュワードシップ」にも通じるところがあります。
続いて「プロジェクト・チーム」についての説明を見てみましょう。
プロジェクト・チームは、多様なスキルや知識、経験を行使する個人から構成される。協働して作業するプロジェクト・チームは、個人で作業する場合に比べ、共通の目標をより効果的かつ効率的に達成できる。
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】3 プロジェクトマネジメントの原理・原則 / 3.2 協働的なプロジェクト・チームを構築すること)
いろいろな人が集まって協働することで、個人では実現できない大きな成果をあげられることがチームの強み。とはいえ、単に人が集まるだけで協働が実現するわけではありません。では、どうすればチームとして最善の成果をあげられるのでしょう? それを説いているのが今回学ぶ項目「協働的なプロジェクト・チーム環境を構築すること」です。
協働的なプロジェクト・チーム環境が構築できると何が嬉しいかというと、以下のような事柄が促進されることです。
・他の組織の文化やガイドラインとの整合
・個人とチームの学習および育成
・望ましい成果を提供するための最適な貢献
(PMBOKガイド第7版 【プロジェクトマネジメント標準】3 プロジェクトマネジメントの原理・原則 / 3.2 協働的なプロジェクト・チームを構築すること)
多様なスキル・文化を持つ人たちが集まる中で適切に機能する規範を整え、個人もチームも成長し、プロジェクトの成果にベストな貢献ができたなら、まさにチームとしての理想ですね。そして、この環境を構築する要素とされるのが以下の3つの項目です。
● チームの合意
● 組織構造
● プロセス
これらの要素が「個々人が一緒に作業し、互いのやり取りから相乗効果を得られる文化を支える」のだと説明されています。理想的なチームを構築する要素とはどんなものか、次回からこの3項目について学んでいきましょう。
(^^♪ 次回:一度決めたら変えちゃダメ? 「合意」の誤解
【出典・参考文献】
・プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準(一般社団法人 PMI 日本支部,2021.274p.)
・A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Seventh Edition and The Standard for Project Management (ENGLISH) By Project Management Institute Project Management Institute
・Project Management Institute.
・一般社団法人 PMI 日本支部