ミャンマーデザインコンテスト「WIT」
スパイスワークスは2017年2月、ミャンマーにて第一回目となるデザインコンテスト「WIT(Web Innovative Talent Award)」を開催しました。大盛況に終わった第一回目の「WIT」がさらにパワーアップして、2018年4月に第二回目を開催!
今回のブログでは、第二回「WIT 2018」についてのレポートをお送りします。
…と、その前に。私たちがなぜデザインコンテストを開催するに至ったのか?について軽くお話しさせてください。
単純作業だけじゃ、若者の将来が危ない!?
昨今ミャンマーでは、各国のIT企業の進出が顕著になっています。しかし、ミャンマーの若者たちに任されている仕事は、ECサイトに掲載する商品の画像切り抜きや、CMSの更新など、その多くが単純作業。
より専門性の高い技術やクリエイティブな発想を必要とする業務を任されるケースは少ないのが実情です。
ミャンマーは、年間6~7%もの高い比率で経済成長を遂げている国。これから平均給与額が上昇していく中、このまま彼らが難易度の低い単純作業を続けていれば、外資企業はより人件費の安い国を見つけ、ミャンマーから撤退していくでしょう。その結果、ミャンマーの失業率が上がり、経済成長が鈍化してしまうのは想像に難くありません。
こういった状況を踏まえ、「スパイスワークスにできることは何か?」を考え、辿り着いたのが、デザインコンテスト「WIT」の開催でした。クリエイターが育つ基盤づくりを行ない、次世代のモデルになるようなクリエイターを生み出したい。世界で活躍する憧れのクリエイターを輩出したい――そんな思いから、デザインコンテストの開催プロジェクトがスタートしました!
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■コンセプト:「Change Yourself Create New Generation」
■対象者:ミャンマー在住の24歳以下の方(個人のみ)
■作品内容:自ら作ったWeb作品であること。テーマは自由。
■審査員:専修大学ネットワーク情報学部:上平崇仁教授、ヤンゴンのコンピューター大学:Tin Aye Kywe教授、テクノロジー大学:Cho Cho Myint教授、スパイスワークス代表:関根聖二
■審査基準:独自性・デザイン性・技術性の3つのポイントから審査が行なわれ、「グランプリ」と「デザイン賞」、「技術賞」を選出。
■表彰:デザイン賞、技術省には賞金500ドル。グランプリ受賞者には賞金1,000ドルと日本の企業・教育機関視察をプレゼント!
▽アワードの様子はコチラから http://witaward.com/
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スパイスワークスの有志メンバー4名と、ミャンマー支社のメンバーが協力し合って、一年前から準備を進めてきました。認知度を上げるためにSNSを通じたプロモーションにも力を入れてきた結果、期間中のFacebookのリーチ数は一千万を突破。ミャンマーだけにとどまらず、タイやマレーシア、シンガポールといった周辺地域からの反応もあり、アジア圏で「WIT」の認知度を上げる有効なプロモーションを行なうことができました。
その結果、応募総数は前回の倍に迫る29作品に!作品のクオリティも前回と比べものにならないほど高いレベルのものがズラリ。授賞式はホテルの会場を貸し切り、260名もの観客を動員し、執り行なわれました。
第一回・第二回ともに授賞式の様子がミャンマーの国営放送 MRTV-4 で放映され、イベント後も大きな反響がありました。
グランプリ作品は…!!!
グランプリを受賞したのは、Si Thu Phyoさん(21歳)。彼は、ヤンゴンのコンピューター大学の学生で、Webデザインやシステムのみならず、AIや顔認識の技術、IoTなどといった最先端技術に興味を持ち、独学で学んできたとのこと。
今回の応募がWITアワード二回目のチャレンジでした。
彼が制作したのは、“ミャンマーにおけるリサイクルについてのWebサイト”でした。Webサイトのデザイン性、技術力はもちろんのこと、サイトのコンセプトに対しても審査員から高く評価されました。実はミャンマーという国では、街中(まちなか)にゴミが散らばり、まだまだリサイクルという概念が浸透していない状況。そういった中で、Si Thu Phyoさんの先進的かつ斬新な価値観を持ってサイトを作り上げたところが、受賞の決め手となりました。
受賞が決まった瞬間、Si Thu Phyoさんの友人が駆け寄り、喜び合う姿が印象的でした。そして、Si Thu Phyoさんがインタビューに答える姿を見て、彼のこれまでの地道な努力、夢を叶えたいという熱い思いを垣間見ることができました。今回の授賞式は、スパイスワークススタッフの胸にも迫るものがあり、“仕事をする意味”“モノづくりの喜び”を改めて考えるいい機会になったと思います。
そして、グランプリを取った後、日本を訪問したSi Thu Phyoさん。協賛企業であるGMOインターネット株式会社のオフィスを見学し、専修大学のワークショップに参加し、日本科学未来館ではASIMOに大きな感動を覚え…大きな刺激を受けて帰国の途に就きました。ちなみに1,000ドルの賞金は、秋葉原での画像認識に利用するカメラの購入費用や、イギリスにあるAI研究の通信学校の学費など、これからのクリエイティブ活動のための投資に充てたそうです。
スポンサー企業様との連携
今回の第二回「WIT」開催に先立ち、ANA様とGMOインターネット様の2社が協賛してくださったのも大きな進展でした。ANA様は、日本からミャンマーへの直行便がある唯一の航空会社。文字通り日本とミャンマーをつなぐ架け橋として、バックアップをしてくださいました。そしてGMOインターネット(Z.com)様は、グランプリ受賞者を迎え入れてのオフィス見学のみならず、応募者に対して一年間Webサーバの無償提供も実施してくださいました。
スポンサー企業様のサポートのおかげで、ミャンマーの若者がウェブを利用して新たなクリエイティブを創造するチャンス、世界の舞台へはばたくチャンスをいただくことができました。
https://www.youtube.com/watch?v=xiUuKCB42rs&t=39s
来年の開催に向けて
大盛況の中、「WIT」を終え、ホッと胸をなでおろす間もなく、来年の開催に向け、すでにプロジェクトは始動しています!
来年は、さらに「WIT」の認知度を高めること。個人参加だけでなくグループ参加も追加すること。「WIT」を継続していくためにスポンサー企業様との関わりを強化していくこと。この3つを目標に掲げています。
さらに、賞を授与して終わりではなく、受賞クリエイターの今後の活動をサポートすることも私たちの役割の一つ。例えば、展示会開催の支援をしたり、プロモーションの協力をしたり、仕事を依頼したり。クリエイティブ活動の発表の場を設け、次世代を担うクリエイターの可能性を広げていくために、スパイスワークスができることに全力で取り組んでいきます!そして将来的にはミャンマーだけでなく、他のアジア圏の国でも開催していく予定です。
私たちのグローバルな活動にも、ご期待ください!