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LRS界隈の今。Learning Locker有料化のインパクトとは?

LRSのイメージ

無料で利用できることで人気の高かったオープンソース型のxAPI準拠のLRSサービス「Learning Locker」ですが、弊社が確認する限りでは、ここ何年かオープンソースの更新が止まってしまっている状況です。これにより、Learning Lockerを動かすために必要なミドルウエアのバージョンが更新できなくなり、脆弱性への懸念を考えると事実上オープンソース型のLearning Lockerは終焉を迎えているということのようです。

▼LRSやxAPIの詳細については下記よりご確認いただけます。
LRSの基本的な役割や導入のメリットについて
学習ログを保存する標準規格xAPIについて

そうなると、Learning Lockerの有料プランへ移行するのか、又はこの機会に新たなLRSサービスへ移行をするべきか、選択を迫られているご担当者さまも多いのではないでしょうか。突然、Learning Lockerに代わる新たなLRSに移行しないと…といわれても、果たしてどのサービスを選べばよいのでしょう? そんな悩めるご担当者さまのご参考までに、xAPI(Experience API)の規格を管理しているADL(Advanced Distributed Learning)のLRS認定を取得しているLRSサービスの中から代表的なものをいくつかピックアップしてご紹介いたします。

代表的なLRSサービスの紹介

ADL LRS

ADL LRSは、xAPI規格の開発元であるADLによって提供される公式なLRSです。お膝元だけにxAPIの仕様にとても忠実なため、規格に準拠したテスト環境としても利用価値が高いLRSといえます。無料で利用できるため、まずはここに接続してみてxAPIの規格に沿っているかどうかの検証にもお勧めです。
▶ADL LRS

Tube LRS

Tube LRSは、韓国政府が推奨する標準仕様に基づいたクラウドベースのLRSで、直感的なUIが採用されている点と、比較的安価な料金プランが用意されている点が特徴です。
▶Tube LRS

Veracity Learning

Veracity Learningは、データの可用性を重視したLRSです。特に企業向けの分析機能が充実しており、学習データの可視化やレポート作成がしやすくなっています。商用利用も可能な無料版も提供されています。
▶Veracity Learning

VOVLO

VOVLOは、eラーニング教材等を販売しているイタリアのE-CO社が提供している、カスタマイズ性の高さが特徴のLRSです。学習データの収集だけでなく、独自の分析機能を追加できる拡張性があります。APIが豊富で他のシステムとの統合も容易なため、LMSと連携した運用を考えているユーザーに向いています。
▶VOVLO

Watershed LRS

Watershed LRSは、高い分析機能が特徴のLRSです。特にダッシュボードのカスタマイズ性が高く、棒グラフ、円グラフ、スパイダーチャート、ヒートマップなどで学習データを詳細に分析することができます。大規模組織向けに設計されており、企業の研修や人材開発に活用されることが多い傾向にあります。無料お試し版の提供もあります。
▶Watershed LRS

TRAX LRS

TRAX LRSは、フランスの会社が提供するLRSです。Laravel 11とVueJS 3 が採用されており、無料で利用できる簡易的なオープンソース版と、スポンサーのみが使える拡張版の2種類が用意されています。
▶TRAX LRS

Rustici LRS

SCORM Cloudで知られるRustici Softwareが提供するLRSです。SCORMとの互換性が高く、xAPIだけでなく、従来のSCORMコンテンツも統合できるのが特徴です。SCORMを活用している企業や教育機関にとっては移行がスムーズになるというメリットがあります。
▶Rustici LRS

GrassBlade LRS

WordPressとの連携が可能という珍しいタイプのLRSです。WordPressベースのeラーニングサイトを運営している場合に最適な選択肢といえます。無料版の提供はありませんが、デモ版があるため導入検討時にお試しができます。
▶GrassBlade LRS

Yet Analytics SQL LRS

有料のLRSが多い中で、無料のオープンソースで商用利用までできるSQL LRSは貴重な選択肢となるでしょう。デプロイする環境の選択肢が広いため、ニーズに合わせたLRS環境を構築できます。導入等のサポートもしているようですが、海外サービスであることがサポートを受けることへのハードルになることに加え、最も安価なスタンダードプランでもかなり高額なコストが毎月掛かります。
▶Yet Analytics SQL LRS

まとめ

Learning Lockerのオープンソース版の事実上の終焉を受け、この機会に新たなLRSへの移行を検討される組織もあるかと思います。本記事で紹介したLRSは、それぞれ特徴が異なるため、自社の用途に合ったものを選ぶことがポイントとなるでしょう。とはいえ、どのサービスも海外のものばかりなため導入には高いハードルがあることも事実です。また、オープンソースのサービスは無料で使える反面、自社で導入するには初期構築時に技術的なハードルがあり、現実的には開発会社へ初期構築を依頼する必要があります。

弊社はLRS導入やLTI接続化対応など教育関連のシステム開発の実績が多数ございます。何かお困りのことがございましたら、お気軽に下記までご相談いただけましたら幸いです。
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田中 豊彦
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