ミャンマーで事務所を開設するには? 〜その1:事務所物件探し〜
アウンサン・スーチーさんの政党が選挙で圧勝し、日本の方たちのミャンマーに対する認識もだいぶ近くなってきたのではないでしょうか?
認識が近くなったということは、あなたがミャンマーに事務所を設立する日もそう遠くないかもしれません!!!?
そこで、今回は私たちのオフショア拠点事務所の開設体験と、少しばかりのノウハウをシェアさせていただきます。
■事務所物件さがし 〜 〜 〜
当然ですが、まずは事務所の物件を決めなくてはいけません。
事務所開設にあたっての基本は「適切なエリア」を選ぶこと。
エリアの選択いかんでは日常の移動コストだけでなく、従業員の採用効率や定着率にも関わってくる大切な部分です。
弊社ではメンバーの通いやすさを重視したいことから、まずは地図を広げて各メンバーの居住地に印をつけてもらいました。
今回の物件をさがすまでは、オフショア拠点開設のコンサルティングをお願いしているコンサルティング会社様の事務所を一部間借りしていました。
そのオフィスがダウンタウンから車で30分ほどのヤンキンというところでしたので、弊社にはダウンタウンに住んでいるメンバーは少なく、今回の候補としては以下があがりました。
・ヤンキン
・タムウェイ
・レーダン
・サンチャン
ちなみに事務所のメンバーに希望を聞いたところ、レーダンとサンチャンがダントツの人気。
このあたりはヤンゴン大学からも近く、日本の原宿のように若者が集まる街となります。
ただ、ここには一つの懸念がありました。
レーダンやサンチャンだと出社時間がかなり長くなり、通勤に問題が出るメンバーが一人いることです。
そのようなこともふまえつつ、まずは上記4箇所の候補をもってさっそく不動産会社へ相談。
今回は3社様に依頼し、合計で30件強の物件を内覧しました。
不動産会社さんはまさに三者三様。
絞り込んで物件を見せてくれるところもあれば、怒涛のスケジュールで2日で19件見せてくれた会社さんもありました。
4日ほどで30件の物件を内覧し、最終的に広さや間取り、物件の質などで4件に絞られました。
残った候補は
・レーダン 2件
・ヤンキン 1件
・タムウェイ 1件
です。
ただし、どこが気に入ったかという単純な理由だけで選べないのがミャンマー事情。
物件を決定する前に事前の下調べが必用となります。
インターネット回線のプロバイダーに連絡し、それぞれの事務所物件で光回線が使えるか事前の確認が必須です。 成長著しいミャンマーでは光回線の人気も高く、回線速度を確保するため新規申し込みを受け付けていない時期もあります。
その場合、すでに建物に回線が来ているかどうかがキモになります。
4か所の物件はそれぞれ気に入っており迷いに迷っていましたが、プロバイダーに問い合わせた結果、回線を使えるのがなんと1箇所のみ。。。
自動的に決定となりました!
ちなみにこの物件を紹介してくれたのは、2日で19件紹介してくれた会社さん。
数って大事。。。
場所は以前の事務所とほど近いヤンキンです。
ヤンキンセンターという建物で、地下にシティーマートというスーパーがあったり食事処があったりと、便利な環境です。
レーダン推奨派の大多数のメンバーからは「レーダンじゃないの〜???」とのブーイングもありましたが、結局はみんなが通える場所に収まりめでたしめでたしです。
上記では光回線の例をあげましたが、事務所を選定する際に、これ以外にいくつか押さえるべき点がありますのでこちらもご紹介します。
・停電状況
ミャンマーは停電が多いですが、地域によってその頻度が異なります。
できれば停電の少ないところがいいですよね。
(感覚としては最近停電が減っているような気がします。インフラも強化されてますね〜。)
・自家発電機は設置できるか(されているか)
停電の少ないところを探したとしても、やはり停電はおこると思っておいた方が安全です。
エンジン式の自家発電を使うことが多いですが、これは音がうるさいので使えない建物もあります。
いい物件ですとビル自体に各部屋の発電機を持っていますので、このタイプはおすすめです。
ただしビルに発電機があっても、エレベーター用だけで部屋には使えないことがあるのでご注意ください。
(ノートパソコンであれば停電もしばらくしのげますが、ルーターが止まってしまうとネットが使えないので痛いです。。。)
・停電でエレベーターが止まった時の警備体制
停電があるということは、エレベーターも止まります。
先ほど述べましたように、停電した時にエレベーターを動かせるよう発電機がついているかは重要です。
私も実際エレベーターの中で停電して、真っ暗の中待った経験あります。
ただし、発電機もすぐ稼働するとは限りません。できれば警備員がいるビルだといいです。
私が閉じ込められた時も、警備員が助けにきてくれました。
光回線について補足です。
弊社では4MBの光回線を契約しましたが、タイミングによってスピードにムラがあり、つながらなくなることもあります。
そういった場合のバックアップ回線もあった方が安全です。
弊社の場合は光回線の調子が悪いときのためにスマートフォンを用意し、テザリングでつなぐようにしました。
ADSL も試しましたが、スピードを比較してテザリングの方が格段に速く、安定感があるということになりました。
■事務所契約 〜 〜 〜
事務所が決まったら契約を進めるのは日本と同じです。
ミャンマーでは「信用取引」という概念があまりありませんので、家賃一年分を最初に支払うのが通例です。
また、不動産会社には一カ月分の手数料支払いが一般的です。
これ以外の敷金や礼金はありませんでした。
基本は1年〜2年更新になりますが、知人の事務所では更新時に家賃が倍に跳ね上がるというケースもありました。できればこれに備えて「契約更新時は家賃の値上げを10%以内に留める」などの記載をしておくと安全です。ただし強気のオーナーさんも多いのでこれは通るかわかりません。。。
■事務所清掃 〜 〜 〜
事務所を借りたらまずは受け渡し前に清掃をしてもらうのは日本と同じです。
色々と前の人が残したものがあり、大家さんとは清掃の時にベランダの植木鉢などなど不要なものを持ち帰ってもらうように約束しました。
清掃当日。私が想像(期待?)をしていたのは、日本のように専門の清掃会社から様々なプロ専用の清掃用具や洗浄剤を持ち、制服を着た人たちが集まってくる光景です。
しかし現実は違いました。。。
タンクトップにロンジー姿の屈強な男性が一名、手ぶらで現れました。
そして、ベランダに落ちていたごみを拾って、スマートに立ち去りそうになりました。。。
え???
それが「掃除」???
なのね(汗)。。。
・・・と、自分を納得させようとしていましたが、海外ではここで引き下がってはいけません!
引き留めて色々と指示をして掃除をしてもらいます。
ベランダの植木も持っていくように伝えました。
こんな要望をすれば「聞いてないよ〜」と嫌な顔をされるかと思いきや、ここはミャンマーの人のおおらかなところ。
親切に対応してくれます。(ミャンマーの人はホント親切!)
とはいえ、彼が帰ったあと、自分たちで汗まみれになって掃除をしたのは言うまでもありません。
こちらの写真、日本採用の弊社ミャンマー人メンバーですが、「さて、掃除をしよう!」と言ってまず彼が向かったのがトイレでした。
日本でもこんな若者にはなかなか出会えませんね(涙)
きっと彼のような若者がミャンマーの輝ける未来を切り開いてくれることでしょう!!
以上となりますが、事務所探しについて特に注意すべき点を改めてまとめます。
・電気、インターネット、電話などインフラの確認は必須!(「大丈夫だろう」は通用しない!!)
・日本ほど交通の便が良くない(基本はバス通勤)ので、場所によっては通えないスタッフが出てくる!
・不動産会社は複数に声をかけた方が良い!
・広さの単位がスクウェアフィートなので、できればその感覚に慣れておいた方がいい!(本文では触れてません)
次回は事務所の施工体験についてシェアさせていただきます!!